成田市下総地区巡り 滑河観音(龍正院)
上野寛永寺の末寺で、坂東33ヶ所観音霊場の第28番札所である。
平安時代の承和5年(838)、又は同7年に滑河城主小田宰相将治が「朝日ヶ淵」(寺の西方約200m)からすくい上げた観音像の霊感にうたれ、一宇を建立したのが始まりといい、慈覚大師円仁が開山である。
ケヤキや松の老木に囲まれ、正面の仁王門は3間1戸の8脚門。柱は円柱に見えるが、16角の珍しいもの。室町中期の文亀年間の建立で、中の仁王像は「火伏せの仁王尊」として知られている。
すくい上げられた観音像が本尊で、像高3.6cmの小さなもの。のちに仏師定朝作の十一面観音像(3.6m)の胎内に奉安され、脇侍に不動・毘沙門の両尊が祀られ、古くから延命・安産・子育てに霊験ありとして多くの信仰を集めている。