『南総里見八犬伝』伝説の地巡り(その1.伏姫籠穴)

南房総市富山(とみやま)は『南総里見八犬伝』の伝説の地です。

富山中学校から20分ほど歩くと、八犬伝の里の玄関口・山門があります。

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タイムスリップしたような扉をくぐり、階段を登ります。一歩一歩登って行きますと、凜とした森とその空気にロマンが漂います。

八房は愛しい伏姫を背負い、山の奥深く分け入ったのではないか……との思いに駆り立てられます。

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間もなく正面に「伏姫籠穴」が見えます。伏姫は八房と暮らした洞窟です。八房が一心に伏姫に尽くし、思いやる姿が脳裏に浮かびます。

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のちに伏姫の救出に来た許嫁の金碗(かなまり)大輔が撃った玉によって、八房は絶命し、伏姫は気絶します。一旦は蘇生した伏姫でしたが、我が身の潔白の証しに腹を切ります。すると、傷口から流れ出た白気が姫の数珠を天空に舞い上がらせ、仁義八行の文字が刻まれた8つの大玉を飛散させた・・・八犬士の壮大な物語が始まります。

伏姫はここに眠り、人々は伏姫を「富山姫」と称して祭礼を催し、さらに八犬士も参拝する・・・物語の最後に紹介されています。

この籠穴の戌(いぬ)の方角にあった檜の木の下には八房を葬ったという「犬塚」があります。

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勿論、伏姫籠穴や犬塚は、物語に合わせて造られたものですが、何か史実のように思えるのは、『南総里見八犬伝』という物語の魅力かもしれません。