静岡の旅 清見寺(せいけんじ)

清水区にある臨済宗清見寺を参詣する。

寺の前の駐車場に車を止め、鉄道線路の上を渡るようになっている参道を進む。記録によると、「駿河湾を望む風光明媚な高台にある」とあり、室町時代には雪舟、明治時代には夏目漱石島崎藤村などが訪れたという。

この寺の創建は奈良時代といい、鎌倉時代禅宗寺院として復興し、足利尊氏今川義元の帰依を受けて繁栄した。豊臣秀吉が小田原北条氏攻めのときには、この寺に宿泊したという。

今川氏に人質であった家康は、この寺の住職の太原雪斉に師事し、当寺で勉強したといい、方丈には「家康手習いの部屋」が保存されている。

また、境内には家康が植えたという「臥龍梅」と呼ばれる梅の古木があり、家康が好んだという庭園は国の名勝になっている。

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江戸時代には、ここから三保の松原を南に見下ろすことができ、目の前に東海道が走っていることから、朝鮮通信使琉球使が立ち寄り、接待に当たったという。

当時に比べると、境内がかなり狭くなり、また、接待の間から駿河湾を見ても、工業地帯の工場の建物がさえぎり、駿河湾を遠望できない状態である。しかし、建物は古く、境内には趣きがあった。

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元記事 2012年8月9日